能登半島の先端で生まれ、培われてきた輪島塗は、塗師屋たちが製造した品を背負って、全国行脚することで伝統を築いてきました。輪島塗の稲忠では、伝統の工法を遵守して製造し、北海道から九州まで訪問販売するなど、塗師屋の精神を継承し、輪島塗漆器の伝統を後世に伝えていくよう精進しています。

石川県の伝統文化の源流をたどると、その多くが加賀藩主前田家とのかかわりへと辿り着きます。江戸時代に入り、能登を治めることになった加賀藩は、「七木の制」を布告して材木の自由な伐採を禁止することにより、ケヤキ、ヒノキといった材木を保護し、漆の木の植林を進めて輪島塗の振興を図りました。

明治時代に入り、石川県が誕生して以後も伝統産業としての輪島塗は重視され、昭和42年（1967年）には、県立輪島漆芸技術研修所を完成させて後身の育成に励み、平成3年（1991年）には、日本唯一の漆芸専門の美術館である石川県輪島漆芸美術館を開館させました。

奈良県生駒郡斑鳩町「法隆寺」。ここに飛鳥時代に推古天皇がご自身の宮殿において拝んでいたとされる国宝指定の「玉虫厨子」が奉納されています。飛鳥文明の集大成といわれるこの「玉虫厨子」が、1400年の時を経て（玉虫の厨子は日本を代表する伝統工芸として 2008年の洞爺湖サミットに出展され、各国首脳の目を引きました）、様々な分野で活躍する平成の職人たちの手で現代に蘇りました。そのなかでも、輪島塗の稲忠が担当したのが、輪島塗部分では、輪島塗の稲忠の坂本茂雄工場長、そして、もっとも重要な装飾の絵図の再現と玉虫部分の製作を担当したのが、輪島塗の稲忠蒔絵工房の職人たちです。

会社概要

輪島塗の稲忠
創業　昭和4年

代表　稲垣充治

住所　〒928-0001　石川県輪島市河井町2部244番地
TEL　　0768ー22ー2300・22ー3300
営業時間　AM　10：00～PM　16：00　

■事業内容
輪島塗漆器製造販売



■経済産業大臣認定資格
輪島塗伝統工芸士

社歴

昭和４年４月　　　稲垣忠右ェ門商店として創業
　　　　　　　　　　三重・愛知・岐阜県を主なお得意先として漆器製造販売業

昭和１９年　　　　輪島軍需水筒制作株式会社を設立（戦時中のアルミ不足を補うために、木製の水筒に漆を塗ることによって、
　　　　　　　　　　漆器産地輪島の漆の仕事を戦争で絶やさないようにするために設立した会社）

昭和２４年　　　　販路を全国に拡大

昭和２４年５月　　株式会社稲忠漆器店

昭和３６年８月　　高松宮妃殿下　御来店　卓上膳　御納品

昭和５２年　　　　皇太子妃殿下（現在の上皇后）宝石箱を御買い上げ賜る

昭和５７年３月　　ＳＴ・デュポン社（フランス）と技術提携

昭和６１年５月　　浩宮様（現在の天皇陛下）稲忠グループ施設に行啓を賜る

昭和６３年７月　　皇太子殿下ご夫妻（現在の上皇・皇后両陛下）
　　　　　　　　　　　稲忠グループ施設に行啓を賜る

平成元年４月　　　創業６０周年を迎える（稲垣忠右ェ門像建立）

平成９年　　　　　高山の平成屋台３台、まつりの森へ納入

平成２０年　　　　国宝玉虫厨子の原寸復刻版と平成の玉虫厨子の塗りと蒔絵を制作

平成２１年４月　　輪島塗の稲忠　創業８０周年を迎える

平成２５年　　　　玉虫蒔絵作品オンリーワンコレクションとして制作を開始する

平成３１年４月　　輪島塗の稲忠　創業９０周年を迎える

令和元年８月　　　玉虫蒔絵作品を博物館フォーラムにて展示

令和２年１月　　　玉虫蒔絵作品展（世界でひとつ）を開催